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F‐エフ‐ 黎明の乙女と終焉の騎士 (角川ビーンズ文庫)

F‐エフ‐ 黎明の乙女と終焉の騎士 (角川ビーンズ文庫)

 

春休みに突如異世界に召喚された、三島響。“フォーチュン”と名乗る存在は、響を後継者候補に選んだと言い放ち、荒廃した世界エヴリールへとばす。神々の加護を受けた響は、そこで騎士・リュイを助ける。彼は、幽鬼が跋扈する世界で、ただ一人の生き残りだった。「あなたを必ず守る。俺は変わらぬ忠誠を捧げよう」運命に選ばれし、世界を救う二人―孤高の異世界トリップ・ファンタジー!大人気WEBサイト公開作、書籍化!!

糸森環だし安定しておもしろいだろうし、と思いながらずっと机においてあったFやっと読みました。読み始めたら一瞬でした。やっぱりおもしろかった!! やっぱり糸森環すっげえ!!

このひとの、ヒロインにこれでもか、ってほど連続して鞭打つ展開がすごくて、浮上しては打ち浮上しては打ちみたいなことを繰り返しながら、弱さもずるさも自覚せざるを得なくて、易きに流れたくなる挫けたくなる、ギリギリのところまでいって、それでも前を向いて決意をする、選択をするヒロインの姿が本当に胸をうつんですよね・・・。しかもまった過酷な描写も濃いしなー。虫こわい。

リュイにとってとにかく大事な、自分以外の人間っていうこれ。自分以外の、幻ではなく、肉体のある、人間。これが重要なせいで、なんか接触の描写がとにっかく切実で、生々しいっていうか…衝動的っていうと違うのかな…本能的な感じっていうか、止まらない、獣っぽくて、なんだかとても悶えた…。結構主人公が幼く感じるせいもあるのかなあとは思いますけど。

あと言葉遣いもやっぱりいいなあ。大好き

あっあとめちゃくちゃ獣萌えでした。描写が最高にかわいい。スリスリ。

 

しかしまあこれもとても痛切な話で……。読後、胸がいっぱいだった。このなんか…信仰じゃないんだけど一方通行な感じというか…ひとりになるのがおそろしいゆえっていうのはそうなんですけど、ひたすら自分を犠牲にしていく、それを何とも思わないっていう。もう崩壊ギリギリのラインですよね。

ちょっと違う話になってしまうんだけど、最近やってた遙か6のコハクくんってキャラクターがいて、彼もここまで状況が命の危険な状態とかではないんだけども、随分献身的なキャラで、自分に対する欲がほんっとうに薄い子なんですよね。相手が幸せなら、自分も幸せだって笑うんだけど。ED後なんか特に、平和に暮らしていける状態になっても、幸せって感じるその幸福の沸点があまりに低すぎる。あんまりに低い描写で、更に嫌だと思ったり泣いたりしてしかるべきな状況に面しても、そっかぁ…仕方ないね…って笑っちゃいそうなところも怖い。この子に対する怖さをF読んでたときふと思い出したんですよねぇ…これだよなあって…。欠けてて、あともうちょっとのところをなんとか保てている保とうとしてる感じ。この危うい感じ。全然健全じゃない。もう遙か6でて一ヶ月たってしまったけど、考えても考えても自分では答えが出せなくて、救える未来がなかなかみえなくて、不安でした。しかも結構これと同じようなことを、コルダ3の函館天音沼でもしていて。

ヒビキが、何度も、それじゃ駄目だよって言ってくれているので、比較的安心してはいますが、この二人がこのあとどうなるか、しっかり読んで、たくさん考えて、それで、なにか自分の中でもひとつの解を見いだせて、この不安の沼から抜け出せたらいいなあと思います。がんばります。

 

なんか感想というより自己表明の話になってしまったなー