ガーネットクレイドル

ガーネット・クレイドル ポータブル ~鍵の姫巫女~ (通常版)

GARNET CRADLE

　プロデューサー：ＣＡＲＮＥＬＩＡＮ／ディレクター：片桐由摩
　シナリオ：高梨瑠花、片桐由摩／原画：雲屋ゆきお

サーリアのトゥルーエンドとバッドエンドだけ残ってのでさっき終わらせてきました。あと一枚だけスチル埋まってないけどバッドエンドかな…？まあ、これにてガネクレは一旦終わりにすることにします。

なんというか、本当に、このゲームはサーリアのためのゲームでした。お話もルート制限も色んなことがそうなんだけどＥＤ曲がこのトゥルーエンドにしかないってのももはや清々しすぎて笑った。だからこそサーリアルートは盛り上がるんですけど、他のルートの余りにひどすぎる金太郎飴とかが大分とネックでわりとサーリア行くまでに心が折れそうになりました……。

いいところも結構あるのですごく勿体無いなあ。でも肝心の物語の肝であるシナリオの謎が大いにマイナス部分だったので、褒めにくい…ので！項目別でさっくり感想書いとこうと思います

続きから～

システム

特に不自由もなく楽しめました。スキップもはやいので周回は楽。ルートチャートはいまいちある必要があるのかは謎なくらいほとんどそれぞれ一本道ルートでした。選択肢も少なめですし。ただ、ＣＧ鑑賞がキャラ別じゃないからすっごい見にくい！何順…？スチルはすごくいいので、これが本当に勿体無かったです。

シナリオ

ガネクレの最大のマイナスポイントであり、でもやっぱりいいところでもあります。とにかくくどいくどいくどいです！夢の世界がひとつテーマではあるのですが、その物語の肝である夢の謎とかなんだか全然よくわからないまま話が進んで、最後の最後の本当に最後のところでドドドドドーッ！とラスボスに全部語らせちゃうという乱暴振りにもはや笑うしかなかった。しかもこれがとにかく金太郎飴です。一番盛り上がるはずのクライマックスで金太郎飴だから全然盛り上がれないわけです。すごくしらーっとした感じでめんどくさくなっちゃって、最後の方は大体オートで他の作業しながら見てました。乙女ゲーの話部分ってだいたい、全体のストーリー部分と主人公とキャラの恋愛部分で出来ててそれがどう絡んで、どのくらいのバランスで話が進んでっていうのがわりと大事なポイントだと思うのですが、ガネクレはとにかくこの全体のストーリー部分がプレイヤー置き去り状態です。最後急に来るからなんの準備もしてないしよくわかんないまま終わっちゃったっていうのが、攻略キャラ全員やったあともまだ残ってます…。設定も伏線も全然うまく使えてない感じ。

でも、キャラとの恋愛部分の描写はこのくどい描写が生きてきてるのか、甘酸っぱくてキャラたちの悩んでるところも喜んでるところも丁寧に掛かれててとても好印象でした。序盤とラストがしんどかったので、余計にこの中盤が楽しかった！ほんとに！なんかもう、いっそ夢魔とか夢の世界を救うみたいなどうでもいいから学園ものつくればよかったんじゃね？って何度も思いました（笑）

あとガネクレのいいところは、世界を救うっていう大義があるんだけど、そんなことより、主人公がどうしたいか、その方が大切だっていうのをラスト再三言ってくれるところですね。セカイ系みたいなものを背負わなくていいよとハッキリ言ってくれるのってあまりないので、すごく優しいゲームだなあと思いました。まあ、結局この世界を救うことと主人公がどうしたいかっていうのは、結末として相反するものではないのでその狭間でゆれ惑うみたいなのは少ないのでこんなにハッキリ言ってくれるのかもしれませんが…。

主人公

私はちょっと苦戦しました…！結構ウジウジなやむタイプですね。容姿もいいし、モテ属性なのですが、母親が夫を思ってずっと泣いてたのが原因でそんなつらいものならば恋をしたくないと思って頑なになってる。でもそれゆえか、すごく普通のことでも過剰反応に見えて、この子は恋愛否定の反動でものすごい恋愛脳になってしまってるんじゃないかっていう、それがなんとも読んでてしんどかったです。どんな皮肉だよ。まあそんなこんなで、ウジウジしたりグルグルしたり悩んだりするのですが、でもこれが認めてしまえばこれが結構男前に伝えなくちゃ！とか行動にしてくれるところは好印象でした。きっとすごく純でまっすぐな子なのだなあ。

あとキャラ崩壊してる部分もあってどういう子なのか最初わかりづらかった。サーリアにものすごいキレるのも二面性っぽく見えちゃって。サーリアにかなりキレるわりには他のキャラに対してはそんなになのがうーん。

怒った顔グラは可愛いです。あとあんまり過ぎるウジウジはしんどかったですが、でもキャラクターの一挙一動にドキドキしたりがんばったりしようとしてるのは可愛かった！

キャラ

キャラとしては皆、可もなく不可もなく、という感じですかね？だいたいがどの人も昔会ったことがあって、とかそういう付属設定があって、なるべくして主人公と結ばれたのだっていう。

・勅使河原くん
彼はあまりにツンデレが過ぎて非常に生きにくいだろうな、と…。でも主人公とは似たもの同士って、って最後笑いあう感じはメインヒーロー（…だよね…？本当はサーリアだろうけど）っぽくてよかったです。しかしツンデレがゆえか男尊女卑発言をかますのでそれはまあ・・・しんどかったです。家とかしきたりとか、そういうのに囚われ続けた過去を考えるとしかないのかな。家同士が決めた結婚とか外側から入る恋愛が私は好きなので、そういうのはよかったかなあ。もうちょっとその要素生かしてくれてもいいかとは思いますが。あと「完璧な俺（笑）」を作り上げてしまうってごめん爆笑した…勅使河原くんの思う望まれる望む完璧な俺像ってアレかよ！ｗｗないわ！！

・理人先輩
やー、容姿端麗完璧キャラかと思ったら予想以上に弱いキャラクターでした。あと主人公のことすきすぎ。選択肢がなくなったら自分を選んでくれるだろう？っていう方向にヤンデレちゃった人なので、他の人のルートでも大活躍してる。でも他の人のルートの理人先輩のがぶっちゃけ萌えました。萌えましたけど、この人選ばれないままミフターフが崩れた他キャラルートの後どうなるんだろう…大丈夫なのか…？あとあんな人外っぽいフリをしといて結局夢魔と思い込んでた人間なのが拍子抜けだけどおもしろかったです

・キイチ先輩
可愛い好き！料理のうまい体育会系お兄さんは大好きです。なんといってもそれが平川大輔だというのがいい。平川さんはなんであんな落ち着いたというかゆっくり話てるように聞こえるんだろう。好きです。キイチ先輩は他のキャラに比べて主人公との昔の繋がりみたいなのが薄くて、逆にそれがお互いが恋に落ちて行く過程をルート内で丁寧に描いててよかったかな？と思います。このルートの一生懸命ごはんをつくったりする主人公ちゃんが可愛い！由緒正しき先輩後輩の恋愛って感じでした。まあ彼もメンタルは弱かった。あとマザコン。

・ナスル
好みではなかったけどお話は萌えました！ずっとそばにいたって言う記憶がある分ナスルを好きだとか大事だって思う気持ちがわかりやすいし、それを遠ざけようとするのは切なかった。好きになってはいけない相手を好きになってしまって揺れ動くナスルの描写もすごくよかったです。椿ちゃんの存在もいい。イマイチよくわかってないんだけど、元々同じ存在なんですよね、彼と椿ちゃんは。これは乙女ゲーであり、ミフターフがイブリースとサヤラーンで創造されたからアミールアミーラという男女をセットにしないと力がでないのだろうけれども、ふたりが同じ存在なんだったら椿ちゃんと美紅の百合も見たかったしこの三人の三人ＣＰもすごくいいですよね～だからあのエンディングよかった！！三人で幸せになってくれ～～～　あと夢魔には人間を魅了し夢を見させる力を持っている設定もなんかすごくいいですよね。ナスルは美紅にはそれは使ってないんだろうけど。インキュバスのナスルっていう響きも最高によかった。あの忠実な楓ちゃんとのギャップ萌え。

・サーリア
切なかったしまあこの人のためのお話なので一番盛り上がりました。よかった！立花さんの演技もすごくいい！攻略前は褐色オッドアイの翼持ちってこの中二感すげえな！？って思ってましたが、プレイするとこれがね～～美しいなすばらしいな～～って思っちゃうわけです！褐色いいよねぇ…。このアラビアンな感じの雰囲気にすごく合ってます。さすがメイン！あとバッドエンドがすごく切なくてめっちゃよかったです～。愛してなどいなかったって掠れた声で言うところいい…。運命には勝てないどうしようもない悲恋っていいな～～～～！話に関してはよくわかってない部分わりとありますが、ミフターフの昼と光の代わりに生まれたから、左右色の違った月と太陽の色の瞳をしてるんですかね？ただのサヤラーンからの遺伝かな。柘榴のシーンどっちもめっちゃくちゃ綺麗だった。ただでさえ柘榴って官能的なモチーフだけどそれを食べさせてあげてその密で手が汚れるっていう描写とか文章の装飾的なとこと綺麗なスチルと相まって色気が！もう！あとすごく食べ物というかお菓子の気になるルートでした。お菓子もチャイもおいしそう～～たべたい～～～。
そういえば何で執事服だったんだろ？お花とか果物とか、とにかく彼は人の形でも猫の形でもプレゼントマンだったので、王子然としたプライドはあるものの元来人に尽くすタイプなのかな。ものすごい善人であることは間違いない。他キャラＥＤでも最後全てをひとりで背負おうともしてたし。

あとは焼却炉のモブがいいです！あと女子もいい！！エマもなんだかんだ切なかったなあ。他のもですがサブキャラの描写がしっかりしてるっていうのはこのライターさんのすごく好きなところです。

ＢＧＭ

好きです！アラビアンの雰囲気だしてて世界観をプラスしてくれてたので、こういうところはガネクレのいいところですね。それはＯＰもＥＤも同様で、ＯＰもＥＤもどっちもすっごいよかったです！めっちゃ好き！！ＯＰもこれから始まる世界にワクワクできるし、ＥＤの立花さんの歌も切なくて素敵でした。

絵

これ、ガネクレの一番いいところかもしれない！とにかくスチルがおそろしく綺麗！ほんとうに綺麗！美しすぎます！出るタイミングも丁度いいところでした。スチルのよさに何回か泣きそうになりました。絵は結構男性向けなのかなーって思ってましたが進めていくとこの感じが結構物語りにあってて。男性陣の手のでかさは思わずyaoihandを思い出しましたがｗ　体格差萌えなので、結構極端に描かれる差の表現も好きでした。まあでもとくかくスチルの綺麗さは滅多にないレベルでした。

あとＵＩも雰囲気を大事にしてるのがわかったので、絵の方面に関してはかなり丁寧に作られてるんじゃないかなあと好印象です。

総評 

ぶっちゃけ人には薦めにくいし、欠点もとにかく多くてでかいけど、いいところはすごくいい、そんなゲームでした。アラビアンな雰囲気をかなり大事に演出してくれるところも素敵な長点だったので、この雰囲気が好きな方は楽しめるかな、と思います。

男どもはだいたいメンタルが豆腐なので、最後は主人公によるカウンセリングですね～。

サヤラーンとイブリースが切なかったです。主人公の親もだけど、こういう周りの恋とか絆を丁寧に描いてくれるのはいいです。切なかった～。イブリースは可哀相なひとだ…ずっとサヤラーンと幸せでいたかっただけなのにね。マチョイズムは夢魔をも殺すね。

しかしなんか夢魔と人間の恋っていうの、珍しいものとして描かれてたけど、実際かかれてる中でも、イブサヤ、キイチ両親、ナスルと主人公と結構出てきて、もうあんまり悩まなくてよくね？って思ってしまった。

あとみんなショタかわいかったです～いいな～どんどん出せ～。出来ればサーリアの子供時代が見たかったです。

あんまり関係ないんですけど、私これのプレイ前後で新装版のハトアリもやっていて、現実と夢っていうかなり似通ったテーマの中、それぞれ違う答えを出してるのが面白かったです。まぁでも、美紅がくる以前にミフターフに現れたアミールアミーラっていうのはハトアリの世界そのものなのでしょうが。あ、でも記憶があってその上で選ぶっていうのならまた違うのかな。でもハトアリの辛い現実を捨てて夢を選ぶ、そしてそれで幸せだっていう答えが現実にいる現実しかない私はものすごい不安に感じて気持ち悪かったので、記憶が消えちゃうっていうオプションありだからでも、現実を選んでくれる話っていうのは有難かったです。心の安定に。

このライターさんはプリアサを書いた方と同じ方なのですが、このラスト怒涛かつ唐突の展開と円満幸せになるためのご都合主義的なのは癖なんでしょうかね。そこがつき詰まればもっと現実味が増して面白いだろうにな～～～

さっくりとか言ったけどなんやかんや長くなってしまいました。勿体無いなーという部分は多かったし、ＰＳＰ版だったら色々もう少しは楽だったのだろうと思いますが、結構楽しんだかな？

だるいなって部分が多いのでやるならＰＳＰ版をおすすめしておきますね～

うーん・・・ＦＤは悩むなあ。やりたいけど、何をどうするんだろ。完全な後日談になるのかな？恋愛課程の描写はよかったのでいっそＦＤの方がおもしろかったりしてね。